糖尿病の合併症①

糖尿病』が進行すると、血管が障害されることで重大な合併症が起こります。 糖尿病で真に恐ろしいのは合併症なのです。 合併症は生活に大きな支障を与え、生命に関わることにもなります。 合併症を防ぐためには、まず血糖を適正な状態に保ち、早期から積極的に血糖値を下げることが必要です。 糖尿病の合併症は足先の壊疽や目の網膜症にまず出現することが多いようです。 日常的に血糖値をチェックし定期的な検査を行って、壊疽や網膜症を未然に回避しましょう。


■糖尿病の合併症

「糖尿病」の発病に気付かなかったり、気付いても治療せずに、高血糖の状態が数ヶ月、あるいは数年続くと、 血管や神経が障害され、全身のさまざまな部位に異変が現れます。それが「合併症」です。 糖尿病は、普段は血糖が高くても、ある程度進行しないと自覚症状が出ないため、 放置した結果として合併症を進行させてしまうことが少なくありません。 しかし、いったん合併症が出現すると、日常生活に差し支える場合が出てきます。 なかには仕事ができなくなったり、辞めざるを得なくなる人もいます。

合併症では、太い血管で「動脈硬化」が進むと、「脳卒中」や「心筋梗塞」を発症しやすくなり、 細い血管が障害されると、「網膜症」「腎症」「神経障害」が起こります (網膜症、腎症、神経障害を「三大合併症」と呼んでいます)。 日本では従来、細い血管に起こる合併症が主に注目されていました。 しかし、最近では、生活習慣の変化などで、糖尿病に合併した脳卒中や心筋梗塞の増加が問題になっています。

糖尿病の合併症は、血糖をきちんとコントロールすることで、その発症や進行を防ぐことができます。 しかし、合併症は早期の段階では自覚症状がないので、気づいたときにはかなり悪化していることも少なくありません。 そのため、合併症の進行の特徴を知っておくことが大切です。

平成14年の糖尿病実態調査によると、糖尿病性網膜症で治療を受けている人は13.1%、 糖尿病性腎症治療を受けている人は15.2%、足壊疽になった人は1.6%、糖尿病性神経障害の人は15.6%でした。 さらに心臓病は15.8%、脳卒中既往が7.9%なので、非常に多くの人が糖尿病の合併症を持っています。


■糖尿病の合併症の種類

糖尿病の合併症には、次のようなものがあります。

●太い血管に起こる合併症

高血糖があると、血管の内側の「血管内皮」が障害され、コレステロールを多く含む「LDL」が血管壁に入り込むことで、 血管壁の弾力が低下したり、内腔が狭くなって、動脈硬化が起こります。 動脈硬化が進むと、 「狭心症」 「心筋梗塞」 「脳梗塞」 「閉塞性動脈硬化症」などが起こりやすくなります。 動脈硬化は、血糖値が少し高い「糖尿病予備軍」の段階から始まります。

「高血圧」「脂質異常症」も、動脈硬化と密接なかかわりがあります。 糖尿病の患者さんは、高血圧や脂質異常症を伴っていることが多く、これは、血糖・血圧・血中脂質の異常が 「内臓脂肪型肥満」によって起こりやすいことが関係しています。 内臓脂肪型肥満があり、血糖・血圧・血中脂質の異常を2つ以上併せ持つ状態を 「メタボリックシンドローム」といい、動脈硬化を早く進めることがわかっています。 血糖コントロールに加えて、これらの要因を改善することも、発症リスクを減らすためには必要です。


●細い血管に起こる合併症

細い血管に起こる合併症には次のようなものがあり、糖尿病の「三大合併症」と呼ばれています。

◆糖尿病性神経障害

糖尿病神経障害は、最も頻度の高い合併症で、早期から現れます。 最初に現れる症状が、足の指や足の裏の痺れ、足先の痛み・感覚の麻痺などで、感覚を伝える末梢神経が障害されることによって起こります。 さらに、内臓の働きを調整する自律神経が障害されると、胃のもたれ、便秘、下痢、たちくらみなどが現れることがあります。 また、発汗異常などを起こします。

【関連項目】:糖尿病神経障害

◆糖尿病腎症

腎臓の中には糸球体という毛細血管の塊があり、そこで血液が濾過され、体内の老廃物が尿の中に排泄されます。 その糸球体が、高血糖によって障害されて起こるのが糖尿病腎症です。 糖尿病腎が起こると、体内の老廃物の排泄や塩分・水分の調節が十分にできなくなったり、 本来、尿中には出てこないたんぱくが漏れ出てきたりします。 しかし、早期には自覚症状がほとんどなく、かなり進行してから、だるさ、むくみ、吐き気、食欲不振などが現れます。 さらに腎臓の機能が低下すると、透析療法が必要になる場合もあります。 また、腎臓の血管が傷つけられ、腎臓の働きを悪化させ、尿毒症(終末腎疾患)を引き起こします。 糖尿病腎症を早く見つけるには、尿中アルブミン検査が有効です。 アルブミンはたんぱくの一種で、糖尿病腎症のごく早期から尿中に漏れ出てくるため、これを調べることで早期に発見できます。 担当医と相談して、定期的に尿中アルブミン検査を受けてください。

【関連項目】:糖尿病腎症

◆糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、眼球の最も奥にある網膜と呼ばれる部分に張り巡らされた細い血管が、高血糖によって障害されることで起こります。 進行すると網膜の血管が詰まり、その部分をバイパスするために新生血管ができます。 新生血管はもろいため、簡単に出血し、それが網膜に異常を引き起こします。 その結果、視力が著しく低下したり、失明に繋がることもあります。 多くの場合、早期には自覚症状がなく、症状が現れた時には、ある程度進行していると考えられます。 早期発見のためには、定期的に眼底検査を受けましょう。

【関連項目】:糖尿病網膜症


●その他の合併症

このほか、高血糖が続くと神経細胞にもソルビトールという糖が溜まるため、神経を麻痺させ、手足の痺れを起こします。 また、抹消の血液の循環が悪くなることから手足の壊疽を起こします。壊疽を起こして足指の切断になったり、 下腿切除になると生活の質が大幅に落ち、歩くこともままならなくなります。神経障害と循環障害があいまって インポテンツの症状が出ることもあります。 また、高血糖が続くと免疫能力が落ち、感染症にかかりやすくなります。糖尿病患者は歯周炎などにもなりやすく、 肺炎等にも抵抗力が弱いので、それらの感染症が多くの死因となります。 さらに、目の 「白内障」「緑内障」「高血圧」「高脂血症」「胆石症」、感染症、皮膚病、関節症などもあります。 糖尿病に肥満、高血圧症、高脂血症が重なった状態は「死の四重奏」と呼ばれ、 「心筋梗塞」などの危険が高まります。