先付けトマト食事法【高血糖対策・糖尿病予防に】D

先付けトマトを行えばインスリンの働きが強まって血糖値の上昇が抑えられ、中性脂肪もグンと減る。 カロリー制限食が長続きせず142ミリあった空腹時血糖値が、先付けトマトで正され体重18kg減。 10年来の糖尿病が先付けトマトで改善し、250ミリ超の食後血糖値が薬なしでほぼ正常化。


■動脈硬化を予防し、血管を若返らせる

トマトは、血液や血管、内臓、肌など、体の隅々までを健康にする優れた野菜です。 血糖値の上昇が抑えられると同時に、合併症を予防することもできるので、糖尿病の患者さんには最適な食べ物と言えるでしょう。 トマトにはファイトケミカル(野菜や果物に含まれる天然の化学物質)が豊富です。 その中でも特に注目されているのがリコピンです。 リコピンは赤色の色素成分でもあり、トマトが真っ赤な色をしているのは、リコピンが多く含まれているからです。 リコピンの抗酸化作用は抗酸化ビタミンとして知られるビタミンEのなんと100倍以上に及び、 体内を錆びつかせる活性酸素を取り除いて、細胞の老化や癌、生活習慣病を防いでくれます。 また、動脈硬化を予防して糖尿病の合併症の進行も抑えます。

動脈硬化を防ぐ働きのある栄養素には、ルチンやセレンなどもありますが、トマトにはどちらも豊富に含まれています。 加えて、余分な塩分を排出するカリウムが豊富なため、高血圧やむくみの解消にも役立つといわれています。 また、整腸作用のあるペクチンという食物繊維も多く含まれていますが、ペクチンは便秘や下痢を予防するほか、 動脈硬化を招く悪玉(LDL)コレステロール値を下げる効果もあります。 悪玉コレステロールが減り、しかもリコピンの抗酸化作用でコレステロールを過酸化脂質(ドロドロ血液を招く酸化した物質) に変化させる活性酸素が減れば、血液がサラサラになり、血管も若返ります。 そうすれば、全身の細胞に酸素や栄養が十分に行き渡り、新陳代謝が活発になって、肌の若返りも期待できるでしょう。

そのほか、トマトのうま味成分のグルタミン酸には、インスリンの作用を増強するホルモンの分泌を促す作用があることも わかっています。 さらに、最近になって、「トマトには血液中の中性脂肪値を低下させて生活習慣病を予防する作用がある」 と京都大学の河田照夫教授らの研究グループが発表し、大きな話題となりました。 トマトには、脂肪燃焼を促す13-OX0-ODAという脂肪酸が多く含まれており、血液中や肝臓の中性脂肪値を減らすことが マウスの実験で証明されたのです。 また、メタボリック・シンドロームのような代謝異常を改善する食べ物としても、トマトへの関心が高まってきています。

このように、トマトは多彩な栄養素を多く含む優れた野菜です。 毎日の食事に先付けトマトを積極的に取り入れて、トマトの栄養を余すところなく補い、高血糖の改善に役立ててほしいものです。


■ストレスなくご飯の量を減らせた

私のクリニックには、従来の糖尿病の食事療法で失敗した患者さんが多く訪れます。 主婦の小川泰子さん(仮名・57歳)もその一人です。 小川さんは、50歳の時に糖尿病と診断されました。 当時通院していた病院からは、食品交換表を使った食事療法を指導されましたが、長続きしなかったといいます。 小川さんは、何事もきちんとやらなければ済まない性格で、食事療法も完璧にやろうとしたのがストレスになって 長続きしなかったようです。
その後、病院から遠ざかってしまった小川さんは、友人が糖尿病の合併症で人工透析を受けるようになったのを知って怖くなり、 当クリニックを訪ねてきました。血液検査をしたところ、空腹時血糖値(基準値は110ミリグラム未満、126ミリ以上で糖尿病) が142ミリグラム、ヘモグロビンA1c(基準値は6.5%以上で糖尿病)が8.6%で、完全な糖尿病でした。 また、体重も82kg(身長154cm)と明らかな肥満体でした。

話を聞くと、小川さんは、野菜を食べる量が少なく、ご飯は毎日おかわりをし、夜食に甘いお菓子を食べるのもしばしばだった といいます。また、父親が糖尿病と脳梗塞を発症しており、遺伝的な影響もあると判断しました。 私はそのことを話すとともに、食生活改善の必要性を説明しました。 小川さんは一度失敗した食事療法よりも、薬で治したいと要望されました。 しかし、できるだけ薬を使わずに、食事療法で様子を見たかった私は、試しに先付けトマトを行ってみてはどうか、 と小川さんに勧めてみました。食事内容をそれまでとほぼ同じでいいこととして、最初にトマトと野菜、次におかず、 最後にご飯の順に食べるようにしてもらいました。野菜はサラダや蒸し物、ときには油いためなど、調理法を変えたので 飽きずに食べられたといいます。 トマトと野菜→おかず→ご飯という順番で食べると、ご飯の大好きな小川さんでも、茶碗に軽く1膳食べるのがやっとだったといいます。 私は、「ご飯を減らしなさい」とは一言も言っていないので、ストレスなくご飯を減らすことができた、と後で話してくれました。

そして、小川さんが先付けトマトを半年ほど続けると、薬は一切飲まなかったのに、空腹時血糖値は104ミリグラム、 ヘモグロビンA1cも6.2%までに改善したのです。体重も半年で18kgも減って、64kgになっていました。 小川さんは、周りの人から「痩せたね」と言われるのがとてもうれしいと話してくれました。
先付けトマトは、小川さんのように、それまでに食事療法で失敗した人でも、容易に成功に導いてくれます。 ストレスを感じずにできることも大きなメリットと言えるでしょう。