インスリン注射

インスリンの不足を補って、高血糖脱出をリードする薬物療法とインスリン注射について簡単に説明いたします。


■インスリンの分泌促進は、薬物療法でも重視

自力での食事療法や運動療法では、インスリンの分泌力や効き目の改善が難しいと判断された場合、 薬の副作用にって血糖コントロールを目指します。このときの目安に用いられるのが、「インスリン分泌指数」という値で、 これはインスリンを自力で分泌する力がどの程度あるかを調べるもの。 早期空腹時とブドウ糖(75g)を溶かした水を飲んでから30分後の血中インスリン濃度(μU/ml)の差を、 同じ時間内で生じた血糖値(mg/dl)の差で割って求めます。 この指数が0.4以上であればインスリンの分泌力が損なわれていないと考えられ、0.4未満が薬の服用を必要とする目安と いえるでしょう。現在病院から処方される糖尿病の治療薬には大別して下記のようなものがあります。 やはり、インスリンの分泌に働きかけたり、その効き目を高めるタイプが中心となります。



■膵臓を休ませる意味もあるインスリン注射

こうした薬を服用しながらも、血糖値の改善がみられなかったり、あるいは合併症を発症している患者さんの場合、 インスリン製剤を注射して体内の不足を補うこととなります。 先のインスリン分泌指数が0.1以下になれば、インスリン注射が必要と診断する医療機関もあります。 インスリン製剤には、以前は豚や牛の膵臓から抽出されたものが使われていました。 しかし、現在では遺伝子工学によって作られたヒト型インスリンとその類似製剤(アナログ製剤)が導入されています。

服用から血糖値が下がり始めるまでの時間や、作用の持続時間によって、インスリン製剤は超速効型・速効型・中間型・ 時効型の4つに分けられ、またそれらの特徴を兼ね備えた混合型も検討されます。 どのタイプの製剤を用いるかは、患者さん自身の生活状態や合併症の有無などを調べて、専門医が診断するものです。 注射のタイミングや量を間違えると低血糖状態(血糖値50〜70)に陥る可能性もあるため、 医師の指示はしっかり守らなくてはいけません。 インスリン注射に対して糖尿病の患者さんは「一生続けなくてはいけない」という恐れを抱くことが多いようです。 残念ながらそうした方がおられることは事実ですが、しかし、インスリンを体外から補うこの療法には、 自分の膵臓の機能を休ませる意味もあります。その結果、ご自身のインスリン分泌力が回復すれば、 将来的に注射なしで血糖コントロールが可能になる例もあるのです。



●糖尿病で処方される薬の作用

◆インスリン抵抗性を改善する

▼チアリジン薬
筋肉、肝臓でのブドウ糖の消費を促し、インスリンの働きを高める。
▼ピグアナイド薬
肝臓でブドウ糖が合成されることを抑制するほか、筋肉でのブドウ糖の活用を促進する。

◆食後高血糖を改善する

▼α-グルコシターゼ阻害薬
酵素の一つであるα-グルコシターゼの働きを抑制することで、腸からの糖の吸収を遅らせる。

◆インスリン分泌を促進する

▼スルホニル薬(SU薬)
膵臓のβ細胞を刺激してインスリンの分泌を促す。
▼グリニド薬
膵臓のβ細胞を刺激して、インスリンの分泌を促す。SU薬よりも効果が出るのが速い。
▼DPP-4阻害薬
インスリンの分泌を促すインクレチン(ホルモンの一種)を分解するDPP-4という酵素の働きを阻害する。